/ 8/26大引け後版

NVIDIA決算前夜、日米で真逆のボラ

NVIDIA決算と米7月PCEが同じ夜に並んだ。東京は答えを見てから動く日で、先に動く必要はない。

データ時点: 日本株=8/26大引け確定/米国株・セクターETF・VIX・米10年債=8/25終値/時間外=8/25米引け後/為替・暗号資産=08/24→08/26の対比(8/25の足が欠損)/PER・EPS=8/25時点

日経平均は66,262.16円(+405.73円・+0.62%)で続伸したが、中身は「行って来い」だった。寄りは-251.94円安、前場に一時400円超安まで売られ、そこから切り返して高値圏で引けている。日中値幅1.59%。方向感というより、今夜の2つのイベント──NVIDIA決算と米7月PCE──を前に持ち高を動かしたくない人が多く、薄い商いの中で振れただけに見える。

私が引っかかっているのは、日米のボラティリティが真逆を向いていることだ。日経VIは31.08と「警戒」の領域にいるのに、VIXは15.45で52週レンジ内位置11%、この1年で最も低い部類にある。恐怖は太平洋を渡っていない。震源は日本国内にある、と読んでいる。

今日の要点

  • NVIDIA決算(米引け後=JST 8/27早朝)と米7月PCE(21:30 JST)が同じ夜に出る。 効き方の向きが逆になりうる組み合わせで、8/27の東京は片方だけを見て動けない
  • 日経VI 31.08 に対し VIX 15.45。 日本株固有のリスク──日銀9月利上げ観測(織り込み約8割)、長期金利2.9%前後の30年ぶり高水準──をオプション市場が値付けしている
  • 年間高値圏の銘柄が並んでいる。 TOPIX連動ETFが52週98%、銅・金融セクターETF(XLF)・素材(XLB)が100%。上値追いというより、そこから先の伸び代が問われる位置にいる

ヘッドライン

NVIDIA決算と米7月PCEが、同じ夜に並んだ

NVIDIAは8/26の米引け後に決算を発表する。会社ガイダンスは売上$91.0B±2%、市場の推定レンジは$91B〜$95B。オプション市場は決算後の時価総額変動を約2,800億ドルと織り込んでいる。同じ日の21:30 JSTには米7月PCEデフレーターと耐久財受注が出る。

この2つは効き方が逆になりうる。PCEが上振れれば「関税インフレ→9月FOMCで利上げ」の見方が濃くなり、米10年債4.64%が上を試して高PER株に逆風になる。一方でNVIDIAが強ければAI設備投資サイクルの継続が裏づけられ、SOXと日本の装置・テスタ株が買われる。両方が同じ夜に出るので、東京は寄り付き前に答えを両方持っていることになる。

見るべきはデータセンター売上と次四半期ガイダンス、決算直後の時間外の符号、そして米10年債が4.75%へ戻すのか4.5%へ低下するのか。SOX 11,588.04の反応幅が東京の半導体の目安になる。

ホルムズ海峡の再開観測で原油が崩れ、東京の物色が資源から金融へ移った

イランのアラグチ外相とオマーン外相が「一時的な共同海上回廊」の創設を協議したと報じられ、ホルムズ海峡再開の観測が立った。WTIは80.80ドル(-1.89%、5日で-5.86%)まで下げ、52週レンジ内位置44%。8/24に米財務長官が発表した対イラン制裁は、対象60団体との報道はあるが発動時期は明言されていない。

「海峡再開の観測→供給途絶プレミアムの剥落→原油安→運賃と資源市況の期待剥落」という経路が、東京の下落率上位(海運-2.40%・石油石炭-1.86%・金属製品-0.87%・鉱業-0.76%)とそのまま一致する。同時に「原油安→インフレ懸念後退→米長期金利低下(4.64%・-1.38%)」が効き、証券・保険・銀行といった金融が買われた。物色の軸が金利と原油の2本になっている。

WTI 80.80ドルが78ドルを割るのか85ドルへ戻すのか。共同海上回廊が公式に確認されるかどうかで、この構図は簡単に反転する。

日経VIが31、VIXが15.45。恐怖は太平洋を渡っていない

日経VIは31.08(+2.20%)。一方で米VIXは15.45(-2.52%)で52週レンジ内位置11%。日経VIが30を超えるのは通常「警戒〜恐怖」の領域で、日経225オプションの買い手が高い保険料を払っている状態だ。

心当たりは3つある。日銀9月利上げ観測(市場の織り込みは約8割)、長期金利2.9%前後で30年ぶり高水準、そして9月16日有力の内閣改造と10月2日召集見通しの臨時国会。加えて日経平均の直近20営業日は高値69,608円/安値60,449円と15%超振れていて、実現ボラそのものが日経VIを支えている。米国の低ボラを見て「相場は落ち着いている」と判断すると、日本株では足元をすくわれる。

日経VIが30を割るか40方向へ進むか、日本10年債の3%乗せ、そして9月FOMC(9/15〜16)と日銀会合を前にこの乖離が縮むかどうかが観測点になる。

主要指数

指数 前日比 52週位置 時点
日経平均 66,262.16 +0.62% 80% 8/26大引け
TOPIX連動ETF 428.20 +0.35% 98% 8/26大引け
S&P500 7,677.28 +0.32% 92% 8/25終値
NASDAQ総合 26,151.30 +0.66% 85% 8/25終値
SOX 11,588.04 +1.44% 66% 8/25終値
VIX 15.45 -2.52% 11% 8/25終値
日経VI 31.08 +2.20% 8/26 15:38
USD/JPY 159.10 -0.03% 73% 08/24→08/26
BTC 78,847.07 -0.15% 31% 08/24→08/26

セクターは日本の上位が証券・商品先物+2.15%、保険+1.57%、銀行+1.12%と金利敏感の金融、下位が海運-2.40%、石油石炭-1.86%と資源。米国は情報技術+0.94%が上位、エネルギー-1.66%が下位で、日米とも同じ原油安の構図が出ている。

前回シナリオの答え合わせ

PARTIAL 8/24作成・8/25向け「イベント前の様子見、内需・バリューが吸収。想定レンジ65,000〜66,300円」

日経平均は65,856.43円(+328.34円・+0.50%)で3日ぶり反発、想定レンジのほぼ中央で着地した。「イベント前の様子見」「内需・バリューが吸収」という枠組みは当たりで、33業種中22業種が上昇、上位は非鉄金属+2.83%・保険+1.85%・証券+1.63%とバリュー主導だった。

外したのは「値がさ半導体が重しになる」という前提。キオクシアHD+0.65%、アドバンテスト-0.14%、太陽誘電+1.32%と、半導体はむしろ下げ止まった。見落としていたのはサムスン電子の自律反発の速さで、8/24に-8.7%まで売られた後、8/26には265,000ウォン(+3.11%)まで戻している。「株主還元の失望は数日尾を引く」と読んだが、実際は1日で織り込みが終わっていた。サブシナリオ(強気66,300〜67,000/リスク64,300〜65,000)はいずれも未達。

累計の検証は13件、hit 6・partial 5・miss 2、的中率65.4%(8/26時点)。

今日のシナリオ

8/27の東京向け。寄り付き前にNVIDIA決算とPCEの答えが両方出ているので、「答えを見てから素直に反応する」日になると見ている。

メイン: 無難な良さで着地、寄り高後に上値が重い45%
66,000〜67,200円

NVIDIAが会社ガイダンス並みの着地で半導体は買い戻されるものの、期待の先取りが進んでいるため寄り高後は伸びにくい。寄り値は米SOXの時間外反応に鞘寄せし、寄り30分の出来高で本気度を測る。後場はジャクソンホール開幕とFRB議長の初講演(8/28)を控え、引けにかけて水準を維持しにくい。

強気: サプライズで75日線を奪回25%
67,200〜68,000円

NVIDIAがデータセンター売上と次四半期ガイダンスの双方で上振れ、米SOXが+3%超。日経平均が75日線66,368円を寄りで上抜けて維持できれば、このシナリオに移る。

リスク: 材料出尽くし+PCE上振れで25日線割れ30%
64,800〜65,700円

決算後に織り込み済みの売りが出る、または米7月PCE上振れで米10年債が4.75%方向へ向かう場合。25日線65,632円を割ると、8/19終値安値65,326.42円を試す展開を想定する。

無効化条件: NVIDIA決算が明確に上振れて米半導体が時間外で大きく買われたのに、日経平均が終値で66,000円を下回る。逆に、決算が失望を呼び米半導体が時間外で崩れたのに、新規材料なしに67,200円を超えて引ける。どちらも「答えと違う動き」で、そのときは別の要因が動いていると考えて読みを組み直す。

観測点は、米10年債4.64%の方向、75日線66,368円・25日線65,632円の攻防、日経VIとVIXの乖離、WTI 80.80ドル、キオクシアHD 50,000円の節目、8/27 16:00の投資部門別売買動向。

注目カレンダー

  • ★ 8/26 21:30 JST — 米7月PCEデフレーター/耐久財受注。FRBが最も重視するインフレ指標
  • ★ 8/26 米引け後(JST 8/27 6:00頃) — NVIDIA決算。会社ガイダンス売上$91.0B±2%
  • ★ 8/27 — ジャクソンホール経済シンポジウム開幕(〜8/29)。同日16:00に投資部門別売買動向(8/17〜21週)、氷見野日銀副総裁の講演も