/ 9/3朝刊

AI決算は通過、金利3%は残る ─ 分岐は昼の30年債入札

ブロードコム決算は時間外で一時6%安からプラス転換して通過。買い戻し主導の反発が見込まれる朝だが、金利3%という重しはそのままで、昼の30年債入札が今日の分岐になる。

データ時点: 日本株=9/2大引け/米国株=9/2終値+引け後の時間外(JST 9/3 07:00頃)/為替・暗号資産=9/3 07:00頃

今朝の最大の関門だったブロードコム決算は、ジェットコースターの末にプラスで通過した。Q3は全項目ビート、しかしQ4ガイダンス348億ドルが市場予想350.3億ドルをわずかに下回り時間外で一時−6%。そこから電話会議でFY2027のAI半導体売上1,000億ドル超という長期の絵が示され、+0.92%(371.15ドル)まで切り返した。

米国市場も4日ぶりに反発し、ADRは10銘柄中9銘柄が東証終値比プラス。前日に1,889円安の全面安となった東京は、買い戻し先行のギャップアップで始まる公算が大きい。ただし金利の重しは消えていない。日本10年債は3.010%と30年ぶりの水準に居座ったままで、今日の本当の分岐は12:35頃の30年利付国債入札にある。

今日の要点

  • ブロードコム決算はQ3全項目ビート(AI半導体売上167億ドルで予想152〜160億ドルを超過)。ガイダンス未達の失望を電話会議の長期見通しが吸収し、時間外はプラス転換で着地した。
  • ADRの並びは「9/2に最も売られた銘柄ほど買い戻された」形(東エレク+4.8pt・SBG+4.7pt)。下げすぎの巻き戻しであり、新しい買い材料が出たわけではない。
  • 日本10年債3.010%は据え置かれたまま。昼の30年債入札が低調なら、超長期金利上昇→財政不安→株安という9/2と同じ経路が再現されるリスクが残る。

ヘッドライン

ブロードコム決算、時間外で一時6%安からプラス転換

9/2引け後(JST 9/3早朝)、ブロードコムがQ3決算を発表した。売上295.9億ドル(前年比+86%)、調整後EPS 3.32ドル、AI半導体売上167億ドル(+221%)といずれも予想を上回ったが、Q4ガイダンス348億ドルが市場予想350.3億ドルに届かず、時間外は一時−6%まで売られた。その後の電話会議でCEOがFY2027のAI半導体売上1,000億ドル超、FY2028も確定顧客6社で成長継続と述べると、株価は371.15ドル(+0.92%)までプラス転換した。

論点は「AI需要の総量」から「四半期の刻み方」へ移っている。+93%成長のガイダンスでも売られたのは期待値がそこまで上がっていたためで、長期の絵が短期のブレを吸収し直した反応順序は、東京の半導体株にとって「押し目が押し目で終わる」ことの傍証になる。

観測点は、ADR乖離がプラスだったアドバンテスト・東京エレクトロンが寄りからプラスを維持できるか。そして今夜の米通常取引でAVGOが371ドル台を保つかどうか。

デルがAIバックログ950億ドルで+15.81%、「メモリの供給制約」を明言

デルの株価は9/2に+15.81%(492.20ドル)と急伸した。売上+58%・調整後EPS+203%の好決算に加え、AIサーバーの受注残950億ドル、四半期中の新規受注609億ドルという規模が確認されたためだ。注目はデルが需要を満たしきれない要因として「DRAM・NANDの供給制約」を明言したこと。

経路はこうだ: AIサーバー受注残950億ドル→1台ごとにメモリを大量搭載→供給が需要に追いつかない→スポット価格上昇→キオクシア・サンディスク・マイクロンの採算改善。川下の会社の口から供給制約が語られたことは、川上のメモリにとって需要の実在証明になる。9/2の全面安でキオクシアだけが±0.00%と動かなかったことと整合する。

観測点はNAND/DRAMスポット価格の続伸と、キオクシアが価格帯別出来高の最厚帯48,800〜55,190円の上方向へ進めるかどうか。

日本10年債3.010%が居座り、今日12:35頃に30年債入札

新発10年国債利回りは3.010%と、1996年9月以来30年ぶりの水準を保ったままだ。引き金となった高田日銀審議委員の「機動的に利上げを行う新たな局面」発言の効果は一日で消えるものではなく、超長期は20年3.880%・30年4.180%・40年4.270%(9/1時点)まで切り上がっている。

金利上昇は株式の割引率上昇であり、3%の節目突破局面では通常なら受益者の銀行業まで下げた——セクターの入れ替えではなく全面安になるのが、水準の切り替わりの怖さだ。今日の30年債入札の応札倍率とテールが低調なら、財政プレミアムがもう一段乗り、9/2の下げの経路がそのまま再現される。

観測点は入札結果(12:35頃)、10年債が3.0%を割るか3.05%を超えるか、そして9/17〜18の日銀会合に向けた利上げ織り込みの推移。

イラン情勢 ─ ホルムズ海峡「事実上封鎖」報道でWTIは90ドル台に定着

経緯を整理する。9/1、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡で米英のタンカー3隻をミサイル攻撃したと声明を出し、米中央軍は同日(JST 9/2未明)に革命防衛隊の関連施設への攻撃を開始した。共同通信は海峡が事実上の封鎖状態にあると報じており、EIAの数字では海峡の原油通過量は2025年Q4の日量2,160万バレルから2026年Q2には490万バレルまで激減している。WTIは90.63ドル(1ヶ月+19.61%)、安全資産の金も4,434.30ドル(+1.98%)へ上昇した。

株式への効き方は、砲撃のニュースそのものより金利経由が本筋だ。供給途絶→原油高→インフレ再燃→中央銀行が利上げに傾く→長期金利上昇→高PER株の割高感、という経路で、上のヘッドライン2本(日米の金利)と同じ出口につながる。原油をほぼ全量輸入する日本には、交易条件の悪化という第2の経路も加わる。

観測点はWTIが90ドルを維持するか93ドルを超えるか、ブレントとの価格差、海運株の反応。そして原油高が9/11発表の米CPIにどの程度乗ってくるかが、次の金利の材料になる。

主要指数

指数 前日比 52週位置 時点
日経平均 64,325.64 −2.85% 74% 9/2大引け
TOPIX 4,081.60 −2.40% 9/2大引け
S&P500 7,666.60 +0.46% 91% 9/2終値
NASDAQ総合 26,217.83 +0.45% 86% 9/2終値
SOX指数 11,339.25 +0.45% 64% 9/2終値
VIX 15.20 −6.98% 10% 9/2終値
ドル円 158.67 −0.95% 70% 9/3朝
BTC 77,297.22 −0.14% 28% 9/3朝

前回シナリオの答え合わせ

PARTIAL

直近の検証は9/2分(9/1作成)で、判定はpartial。「TOPIX優位・日経足踏み」のメインは1,889円安の全面安で完全に外れたが、30%を置いたリスクシナリオのトリガー5つがすべて成立しており、警告としては機能していた——詳細は前日の記事に書いたとおり。教訓は「節目突破の日はレンジ思考が効かない」「前日に点灯済みのリスクは翌日のメインへ繰り上げる」の2つ。

昨日引け後に立てた9/3向けシナリオは、今朝のブロードコム決着とADRを織り込んで本記事のシナリオに更新した。答え合わせは今日の大引け後に行う。累計成績は検証17件・的中率70.6%(hit 9 / partial 6 / miss 2)。

今日のシナリオ(9/3)

メイン: 自律反発、ただし25日線が壁45%
64,400〜65,800円

買い戻し先行のギャップアップで寄り、半導体主導で戻すが25日線65,672円に届かず失速する形を本線とみる。根拠は先物夜間終値64,480円(現物比+154円)、ADR乖離9/10銘柄プラス、VIX −6.98%の落ち着き。抑え要因は10年債3.010%・円高方向のドル円158.67円・昼の30年債入札・明日の米雇用統計前の持ち高調整。ギャップアップで寄ったのに終値で9/2終値64,325.64円を下回れば、この読みは外れと判断する。

強気: 入札通過で25日線を上抜け25%
66,000〜66,500円

30年債入札が順調で超長期利回りが低下し、10年債が3.0%を割り込んだ場合。キオクシアがPTSの+1.95%を寄りで実現し、デルの供給制約発言がメモリ需給逼迫テーマとして再燃すれば上値が伸びる。PER面では66,000円は直近39営業日の中央値と一致する水準で、「平均への回帰」以上を要求しない。

リスク: 入札低調・円高で戻り売り30%
63,000〜64,000円

30年債入札が低調で超長期利回りが上昇し財政プレミアムが再燃するか、ドル円158円割れの円高加速で輸出関連の買い材料が消えた場合。米雇用統計を控えた持ち高削減が重なると下げが加速しやすい。

時間帯別には、寄りは先物とADRに鞘寄せしたギャップアップ、前場の関門は25日線65,672円(9/2に指数を約474円分押し下げたSBGとアドバンテストの戻り次第)、後場は12:35頃の30年債入札が最大の分岐点になる。

注目カレンダー

  • ★ 9/3(木)12:35頃: 30年利付国債入札 — 本日最大の分岐点。応札倍率とテールを確認
  • ★ 9/3(木)23:00: 米ISM非製造業景況指数 — 製造業(54.6)に続く景気の確認。金利の方向に効く
  • ★ 9/4(金)21:30: 米8月雇用統計 — 9月FOMC(利上げ織り込み66〜70%)の判断に直結