/ 8/20大引け後版

890円高の中身は「売られすぎた順」だった

日経平均は890円高の全面高だったが、買われたのは「良いもの」ではなく「売られすぎたもの」だった。夜のウォルマートと明朝の先物水準で、この反発の賞味期限が決まる。

データ時点: 日本株=8/20終値/米国株・SOX=8/19終値(米8/20セッションは22:30開始で未取引、プレマーケットのみ)/為替・商品・暗号資産=8/20時点/先物=CME日経 65,530円

今日の反発は「売られすぎた順」に買われた一日で、それ以上でもそれ以下でもないと見ている。日経平均は66,216.79円(+890.37円・+1.36%)で3日ぶりに反発し、25日線65,724.53円と75日線66,154.45円をまとめて回復した。33業種のうち下げたのは4業種だけ。ただ、上昇率トップが輸送用機器+3.95%だったことに引っかかる。ドル円は158.66円と円高方向なのに自動車が買われた。教科書的な波及経路より、需給の巻き戻しのほうが強い局面だ。

もう一つ気になるのは、売買代金が8兆6,034億円と8/19から1.5兆円減り、終値が75日線をわずか+0.09%上回っただけという点だ。CME日経平均先物は65,530円で現物を687円下回っており、明日は売り先行で始まる公算が大きい。今夜のウォルマートの反応と、朝の先物水準が反発の続き方を決める。

今日の要点

  • 反発の中身は「売られすぎの巻き戻し」で、ファンダの裏づけは薄い。 8/19に下落率トップだった非鉄金属が+2.29%で戻し、押し下げ首位だったソフトバンクGが+3.06%で押し上げ首位に回った一方、金利低下が直撃する銀行・保険だけが下げ続けた
  • CME先物65,530円が現物終値を687円下回り、8/21は売り先行のスタートを示唆している。 回復したばかりの75日線66,154円・25日線65,724円が、今度は下値支えとして機能するかが最初の関門になる
  • ウォルマートは上振れ+通期引き上げでもプレマーケット-5.93%。 「決算の合否は次の四半期のガイダンスで決まる」という読みが3社目で再確認され、今夜22:30からの米国セッションの最大の焦点になっている

ヘッドライン

日経平均が890円高で3日ぶり反発、下げたのは33業種中4業種だけ

日経平均は66,216.79円(+890.37円・+1.36%)で3日ぶりに反発し、25日線65,724.53円と75日線66,154.45円をともに回復した。TOPIXは4,059.73(+47.42pt・+1.18%)。東証プライムの値上がりは84%、値下がりは13%の全面高で、下落したのは鉄鋼-0.64%・銀行業-0.53%・保険業-0.29%・倉庫運輸-0.10%の4業種のみ。上昇率トップは輸送用機器+3.95%、次いで電力・ガス+3.16%、医薬品+2.87%。指数の押し上げはソフトバンクG(単独+128円)とファーストリテイリングの2銘柄で236円分だった。

本質は物色の順番が「売られすぎた順」になったことにある。ドル円158.66円の円高方向でも輸送用機器が上昇率トップで、日経新聞の見出しも『円高でも車に食指』だった。円高→輸出企業の採算悪化という教科書的な経路が、需給の巻き戻しに負けている。同じ理屈で8/19に-8.33%だった非鉄金属が+2.29%、-10.34%だったソフトバンクGが+3.06%で戻した。逆に金利低下の直撃を受ける銀行・保険だけが下げ続けており、ここだけは需給ではなくファンダで動いている。

見るべきは、75日線66,154.45円が今度は下値支えとして機能するか、売買代金8兆6,034億円がさらに細るか、銀行株が5日ぶりに反発するか。

ウォルマートは上振れ+通期引き上げでもプレマーケット-5.9%

ウォルマート(WMT)は8/20寄り前(JST 20:00)に第2四半期決算を発表した。調整後EPS 0.81ドル(予想0.74ドル)、売上高1,879億ドル(+5.9%・予想1,867.5億ドル)、EC売上+23%と上回り、通期ガイダンスも引き上げた。それでもプレマーケットは107.52ドルと8/19終値114.30ドル比で-5.9%。米既存店売上高が+2.6%(予想+3.7%)にとどまったことと、第3四半期の調整後EPSガイダンスが0.62〜0.64ドル(予想0.68ドル)と下振れたことが理由だ。CFOはIEEPA関税還付29億ドルの受領資格があり、これを値下げ原資に充てると説明した。

朝のレポートで立てた『市場が見ているのは通期ではなく次の1四半期』という読みが、これで3社目になった。TJXは通期EPSを引き上げたのにQ3ガイダンス未達で-4.21%、ウォルマートも同じ形。例外はターゲット(+4.28%)だけで、こちらは既存店+3.8%と足元の勢いそのものが強かった。判定軸ははっきりしていて、決算の合否は通期でも過去実績でもなく次の3カ月の見通しで決まる。加えて関税還付を値下げに回すという宣言は、利益率改善ではなく価格競争に使うという意味で、小売セクター全体のマージン期待を下げる。

今夜22:30からの米国セッションでウォルマートが-5.9%のまま引けるか、ターゲットの+4.28%が維持されるか、XLY(一般消費財・52週レンジ内位置69%)の方向を見る。

キオクシアが6.01%高で5万円回復、ただし半導体セクターは追随せず

キオクシアHDは52,950円(+6.01%・日中値幅7.52%)で5万円の節目を回復し、8/19のPTSナイトセッションで示された52,200円をさらに上回って引けた。一方で東京エレクトロンは-1.17%、アドバンテストは+0.97%、村田製作所は-1.72%と、半導体・電子部品は指数の+1.36%に追いつけなかった。SOX指数は8/19時点で11,738.23(-2.12%)の3日続落のままだ。

時間外で買い戻されていたのは『半導体セクター』ではなく『NANDの当事者』だった、ということが今日で分かった。8/19の時間外ではキオクシアがPTSで+4.5%、提携先サンディスクが米時間外で+2.29%と、NAND関連だけが戻していた。本日はその読みどおりキオクシアだけが大きく上げ、装置株とテスタはついてこなかった。ただしキオクシアの出来高は20日平均比0.92倍で、買いの裏づけは薄い。価格帯別出来高では現在値52,950円が最厚帯48,800〜55,190円(全体の15.8%)の中に入っており、上下とも抵抗が厚い滞留ゾーンにいる。

観測点は、5万円台を維持できるか、出来高が20日平均比1.5倍を超えて上昇に転じるか、米8/20セッションでSOXが4日続落を止めるか、サンディスク1,568.87ドルの方向。

主要指数

指数 前日比 52週位置 時点
日経平均 66,216.79 +1.36% 80% 8/20終値
TOPIX 4,059.73 +1.18% 8/20終値
S&P500 7,707.98 +0.21% 94% 8/19終値
NASDAQ総合 26,331.09 +0.16% 88% 8/19終値
SOX 11,738.23 -2.12% 68% 8/19終値
VIX 15.33 +2.96% 11% 8/20時点
日経VI 29.68 -8.51% 8/20終値
USD/JPY 158.66 -0.56% 70% 08/18→08/20
BTC 71,850.01 +3.73% 20% 8/20時点

セクターは日本の上位が輸送用機器+3.95%、電力・ガス+3.16%、医薬品+2.87%、不動産+2.33%で、グロース側(情報・通信+2.01%)とディフェンシブ側がそろって上がり明確な選好はない。下げたのは金利低下が直撃した銀行-0.53%・保険-0.29%だけ。米国は8/19がヘルスケア+3.51%・一般消費財+1.92%が上位、情報技術-1.07%が下位で、半導体が取り残された形だった。

前回シナリオの答え合わせ

HIT 8/20寄り前作成・8/20向け「買い先行→上値の重い反発。想定レンジ65,400〜66,300円」

日経平均は66,216.79円(+1.36%)で、メインシナリオ(45%)のレンジに終値が収まった。時間帯の流れも合っていて、日中値幅は1.02%と小さく、寄ってから動かない一日だった。寄り前に時間外データを見て『半導体の戻りは鈍い前提』を入れ替えた判断は正しく、キオクシアHDは強気シナリオのトリガー『5万円回復』を達成している。『銀行は逆風が続く前提』も的中し、下落4業種のうち2つが金融だった。『売買代金が8/19の10兆1,151億円を下回るなら戻りは自律反発の域を出ない』も、8兆6,034億円への減少と75日線をわずかに上回っただけの終値で裏づけられた。

外したのは3点。円高を輸出株の逆風として扱ったが、輸送用機器は+3.95%で上昇率トップだった。売られすぎからの買い戻し局面では、セクターのファンダより「どれだけ売られたか」のほうが効く。『半導体が戻りを主導する』としたが、実際に指数を押し上げたのはソフトバンクGとファーストリテイリングの2銘柄で236円分。キオクシア単独の的中をセクター全体に広げたのが誤りだった。そして強気シナリオ(30%・66,300〜67,000円)はレンジ下限に83円届かず、75日線を上抜けたのにレンジに乗らなかった。強気に置いた30%は結果的に過大だった。

累計の検証は10件、hit 5・partial 3・miss 2、的中率65.0%(8/20時点)。

今日のシナリオ

8/21の東京向け。CME先物65,530円(現物比-687円)に鞘寄せして売り先行で始まり、回復したばかりの移動平均線が支えになるかを試す一日だと見ている。ただし今夜の米国セッションの結果で寄り前の景色は大きく変わるので、朝の先物水準は必ず取り直す。

メイン: 売り先行で寄り、75日線・25日線の支えを試す50%
65,400〜66,300円

先物に鞘寄せして売りから入り、前場は75日線66,154円・25日線65,724円が下値支えとして機能するかが最初の関門になる。後場は売買代金が8/20の8兆6,034億円をさらに下回るかを見る。下回るなら、8/20の反発は一時的な戻しにすぎなかったことになる。

強気: 米国株が持ちこたえ、暗号資産関連が牽引20%
66,300〜66,900円

今夜の米国セッションでウォルマートの下げが限定的にとどまり、3指数がプラスで引ける場合。BTCが73,000ドル台へ進めば国内の暗号資産関連へ物色が広がる余地がある。CME先物が朝までに66,200円台へ戻していれば、このシナリオに移る。

リスク: 米消費不安と原油高で75日線を割り込む30%
64,700〜65,400円

ウォルマートの米既存店+2.6%(予想+3.7%)が『米消費の減速』として読まれ、米国株全体が下落する場合。WTI 87.18ドルが90ドルを試す動きも重なる。25日線65,724円を明確に割り込んで引けると、ボリンジャー-1σ 63,670円が次の下値目処になる。

無効化条件: 米国株が崩れずウォルマートの下げも限定的だったのに、終値で65,400円を下回る。または新規材料なしに66,300円を超えて引ける。どちらも想定と違う要因が動いているサインなので、読みを組み直す。

観測点は、CME先物の朝の水準、75日線66,154円・25日線65,724円の攻防、売買代金8兆6,034億円との比較、ウォルマートの終値、WTI 87.18ドル、キオクシアHD 5万円台の維持と出来高。

注目カレンダー

  • ★ 8/20 22:30 JST — 米国8/20セッション開始。ウォルマートのプレマーケット-5.93%がどこまで戻すかが最大の焦点。同日21:30には新規失業保険申請件数(予想21.0万件・前回20.9万件)
  • ★ 8/27 05:20頃 JST — エヌビディア決算(米8/26引け後)。会社ガイダンス売上約910億ドル、市場予想930億〜950億ドル。同日にJPX投資部門別売買動向(8/17〜21週)で、急落局面に海外投資家が売り越しに転じたかの答え合わせ
  • ★ 8/27 — ジャクソンホール会議(〜8/29)。ウォーシュ新FRB議長の初講演は8/28(米国時間)。9/15〜16のFOMCは7月会合で3名が利上げに票、利上げ織り込みは約34%