/ 9/7朝版(東京寄り付き前)

メモリ高で日経先物+810円、米国休場の薄商い

米メモリ株の急騰を受けて日経225先物は夜間に65,830円(+810円)まで買われた。ただし今日はレイバーデーで米国が終日休場、東京は追加の材料が届かないまま自力で値を保つ日になる。

データ時点: 日本株=9/4大引け/米国株・SOX・セクターETF・米10年債=9/4終値/為替・金・原油・銅・暗号資産=9/6(週末値)/日経先物=大取ナイト9/5 06:00・CME 9/7 08:23/需給=8/24〜8/28週/空売り比率=9/4/PER=9/4時点/東証33業種=9/4大引け(フィスコ)。kabuステーション停止中

主要指数の5日推移(起点日比)
日経平均S&P500
Source: Yahoo Finance / 08/24〜09/04 終値・起点日比NOX MARKET LAB

先に材料が来て、あとから商いが細る日になりそうだ。9/4の米国市場でSOX指数は11,735.26(+3.37%)と大幅高になり、サンディスク+11.90%、マイクロン+6.10%、ウエスタンデジタル+5.86%とメモリ勢が突出した。これを受けた日経225先物の大取ナイトセッションは65,830円で、大取日中終値比+810円。CMEの円建ても9/7 08:23時点で同じ65,830円だった。寄りは9/4終値65,020.94円から大きく上へ飛ぶ形が想定される。

問題はそのあとだ。今日9/7は米国がレイバーデーで株式・債券とも終日休場で、東京の引け後に新しい材料が出てこない。9/4の806円高がソフトバンクG一極(上昇銘柄比率38.2%)だったことを踏まえると、寄り高で開けたあとに誰が買い続けるのかが問われる。上には5日線65,217.67円、その先に25日線66,067.79円が待っている。

今日の要点

  • 米3指数が−0.3〜0.5%下げた9/4に、SOX指数だけが+3.37%と逆を向いた。サンディスクは会社発表のないセクターフローでの+11.90%、マイクロンはHBM生産能力の倍増検討報道で+6.10%。金利というマクロの物差しではなく、NAND・DRAMの需給というミクロの材料が優先された形になる。
  • 米8月雇用統計は非農業部門雇用者数+16.2万人(予想+5.3〜5.6万人)で予想の3倍。CME FedWatchの9月FOMC利上げ確率は約49%から約60%へ戻り、米10年債利回りは4.78%と52週レンジ内位置99%の高値圏にある。割引率の上昇はグロース株の逆風だが、今日は当の米国市場が動かない。
  • 9/4の806円高は日経225構成銘柄の上昇銘柄比率38.2%(値上がり86/値下がり137)で、ソフトバンクG単独が寄与度+0.743pt≒+477円分。そのソフトバンクGのADRは東京終値比−3.7ptで戻されており、半導体が新しい主役になれない場合は指数が伸びにくい。

ヘッドライン

米株安のなかで半導体・メモリだけが逆行高。SOX +3.37%、サンディスク +11.90%

9/4の米国市場は、NYダウ−0.51%、S&P500 −0.38%、NASDAQ総合−0.29%と3指数が揃って下げた。そのなかでSOX指数は11,735.26(+3.37%)と大幅高になっている。牽引したのはメモリで、サンディスク1,740.00ドル(+11.90%)、マイクロン1,016.59ドル(+6.10%)、ウエスタンデジタル467.46ドル(+5.86%)。エヌビディアは230.36ドル(+0.84%)と小幅高にとどまり、上げ方はAI半導体全体ではなくメモリに偏っていた。

材料の中身を分けて見ると、サンディスクについて24/7 Wall St.は当日の会社発表がないことを明記しており、目標株価の引き上げとセクターフローが背景とされている。一方でマイクロンにはHBM生産能力を倍増する検討という韓国メディア報道と格上げがあり、ウエスタンデジタルにはブレンド単価が前年比10%台で上昇しているという裏づけがついた。Susquehannaは今四半期のDRAM契約価格が+50%超、NANDが約+60%になると予想している。会社発の新規材料が薄いまま買われた銘柄と、値上げの数字が伴っている銘柄が混在している点は割り引いて見たい。

東京への経路は、米メモリ株高→NAND/DRAM値上げ期待→キオクシアHD・アドバンテスト・東京エレクトロンの寄り高→日経のギャップアップ、という順になる。ADR乖離も東京エレクトロン+2.8pt、アドバンテスト+1.4ptとプラス側だ。ただし9/3は逆に半導体が置いていかれた日で、主導権は日替わりで移っている。観測点はキオクシアHD(9/4終値54,460円)が出来高を伴って最厚帯上限55,190円を抜けるかどうかで、9/4の上昇は出来高比0.81倍と細かった。

米8月雇用統計は予想の3倍。利上げ確率は約60%へ戻り、米10年債4.78%は52週高値圏

9/4 21:30 JSTの米8月雇用統計は、非農業部門雇用者数が+16.2万人と市場予想+5.3〜5.6万人を3倍上回った。6月・7月分も合計+5.5万人の上方改定がつき、失業率は4.1%、平均時給は前月比+0.3%・前年比+3.1%だった。CME FedWatchの9月FOMC利上げ確率は約49%から約60%(集計により58〜63%)へ戻っている。この確率は8/31の66.0%から9/3の49.5%まで下がり、また戻ったという往復の途中にある。

経路は「雇用が強い→インフレが高止まり→FRBが利上げしやすい→短期金利が上がる→割引率が上がる→高PER株の割高感が増す」で、実際に米2年債は4.39%と2025年1月以来の高水準、米10年債は4.78%(52週レンジ内位置99%)まで上昇した。それでも米株の下げが−0.3〜0.5%にとどまったのは、賃金の前年比+3.1%がインフレ加速の裏づけにならなかったためと読める。

日本にとっては円安方向への戻り(輸出には追い風)と米金利高(グロースには逆風)の両面が同時に来る。そして今日は米国が休場で、この綱引きに新しい情報が加わらない。次の判断材料は9/11 21:30 JSTの米8月CPIで、同じ日に日本のメジャーSQが重なる。FRBは9/4以降ブラックアウト期間に入っており、当局者の発言も出てこない。

主要指数

主要指数の前日比
Source: fetch_market.py(Yahoo Finance)/日本株=9/4大引けNOX MARKET LAB
VIXの推移
VIX
Source: Yahoo Finance(fetch_history.py)NOX MARKET LAB
投資部門別売買動向(週次ネット・億円)
海外投資家個人信託銀行
Source: JPX 投資部門別売買状況(fetch_investor_flows.py)/公表は対象週の翌週木曜NOX MARKET LAB
月ごとの上昇銘柄割合(日経225構成銘柄・月末終値ベース)
Source: Yahoo Finance/日経公式の構成銘柄(fetch_breadth.py)/2026-09-07時点NOX MARKET LAB
出遅れ組と先行組の相対パフォーマンス(2026-06-30 起点)
出遅れ組(過去1年 下位20%)先行組(上位20%)
Source: Yahoo Finance(fetch_breadth.py)/等金額・起点日比NOX MARKET LAB
指数 前日比 52週位置 時点
日経平均 65,020.94 +1.26% 75% 9/4大引け
TOPIX 4,103.23 +0.03% 9/4大引け
S&P500 7,718.60 −0.38% 94% 9/4終値
NASDAQ総合 26,506.99 −0.29% 91% 9/4終値
SOX指数 11,735.26 +3.37% 67% 9/4終値
VIX 14.53 +1.47% 6% 9/4終値
ドル円 156.10 +0.28% 56% 9/6
ビットコイン 80,258.24 +0.54% 33% 9/6

日経平均のテクニカルは、5日線65,217.67円が0.3%上、25日線66,067.79円が1.6%上、75日線66,735.27円が2.6%上にある。一目均衡表では雲の下、RSI(14)は45.3で中立、20日高値は69,608.24円で20日安値は63,772.80円。9/4の出来高は平常比0.97倍で、新規資金の流入は確認できない水準だった。PERは17.23倍・予想EPS 3,773.71円で、直近38営業日のレンジ内位置は26%と割安側。25日線とほぼ重なる66,000円がPER 17.49倍=期間平均に一致する計算になる。

VIXは14.53と52週レンジ内位置6%の低水準にあり、日経VIは27.19(−3.99%)とVIXの約1.9倍。9/11のメジャーSQに向けた建玉はプット147,289枚に対しコール85,507枚(9/3時点)とプット偏重で、ヘッジは厚い。

セクターと為替、そのほかの材料

為替・暗号資産の前日比
Source: fetch_market.py(Yahoo Finance)/日本株=9/4大引けNOX MARKET LAB
米セクターETFの前日比(強い順・弱い順)
Source: fetch_market.py(Yahoo Finance)/日本株=9/4大引けNOX MARKET LAB

米国の11セクターは8つがマイナスで、プラスはテクノロジー+0.70%、資本財+0.41%、公益+0.12%だけだった。下位は一般消費財−1.33%、通信サービス−1.19%、ヘルスケア−1.04%。グロース側の平均−0.32%とディフェンシブ側の平均−0.34%で差は0.02ポイントしかなく、ローテーションの向きは判定できない。そのなかで半導体だけが+3.37%と独立している、というのが9/4の要約になる。東京の33業種は情報・通信業+3.55%(ソフトバンクG +11.78%)、証券・商品先物取引業+2.12%、非鉄金属+1.61%が上位で、下位は鉱業−2.83%、海運業−2.38%、電気・ガス業−2.35%だった。

週末に効いてきたのが原油だ。9/5〜6に米国がイランのタンカー3隻を標的とし、イランはタンカー攻撃と米艦艇へのミサイル発射で応じた。イランは封鎖線を起点とする「制限区域」の設定も表明している。ブレントは週間で約+8%の95ドル前後、WTIは91.48ドル(5日+6.67%・1カ月+17.01%)まで上がった。原油高→インフレ懸念→長期金利上昇→高PER株の割高感、という経路は9/1に東京を崩した道筋そのままで、鉱業・石油・海運が買われて空運・化学・電力ガスが売られる形になりやすい。ただしニュース1本で往復してきた値動きでもあるので、方向を決め打ちしにくい。

需給面では、9/4引け後に日経平均の定期入れ替えが発表された。JX金属(5016)とKOKUSAI ELECTRIC(6525)が流動性、カプコン(9697)が業種バランスで採用され、コニカミノルタ(4902)・ARCHION・カナデビア(7004)が除外される。適用は10/1算出分からで、株価換算係数の変更(東京エレクトロン3→15)も同時に入る。PTSではカプコンが4,500円(+5.9%)を付けた。9/30引けのパッシブ売買を先回りする買いが入りやすい一方、過去は発表翌日の寄り天から月末までじり安という形が多く、持続性は乏しい。コニカミノルタは同日に気候変動指数・外需株50からも除外が決まっている。

投資部門別の売買動向は8/24〜28週までしか出ておらず、海外投資家−1,747億円・個人−535億円・信託銀行−2,003億円と、事業法人+2,127億円を除く主要主体が揃って売り越しだった。戻りを売る主体が残っている状態で、66,000円台では戻り売りが出やすい前提になる。8/31〜9/4週の数字は9/10公表で、9/4の806円高を誰が買ったのかはそこで分かる。空売り比率は9/4が39.9%(−3.6pt)と40%を割り、買い戻しは一巡した形。信用倍率は7.91倍・評価損益率−4.68%(8/28時点)だった。

為替はドル円156.10円(+0.28%)で、5日線158.13円・25日線158.73円をまだ下回り、RSI(14)は32.2、20日安値は155.32円。日本10年債は2.890%で、9/1に付けた3.0%からは下がっている。金は4,476.60ドル(+1.06%)、銅は52週レンジ内位置99%。暗号資産はビットコイン80,258.24ドル(+0.54%)、イーサリアム+1.58%、ソラナ+3.32%と週末に小幅高だが、出来高は平常比0.52倍と薄く方向の判定材料にはなりにくい。

前回シナリオの答え合わせ

シナリオ的中率の推移(hit=1, partial=0.5)
累計的中率
Source: scenario_log.jsonNOX MARKET LAB

PARTIAL

直近で検証が完了しているのは9/4向けのシナリオで、判定はpartialだった。日経平均の終値65,020.94円は想定レンジ64,400〜65,300円の中に収まり、「寄り高で始まって5日線の手前で伸び悩む」という形も実現している。トリガーに置いたドル円の155.5〜156.5円での膠着(9/4終値156.22円)も想定どおりだった。

外したのは値幅と物色だ。「小幅高で引ける」としたが実際は+806.46円・+1.26%で小幅ではなく、最大の誤りは「TOPIX優位・日経足踏み(NT倍率15.65)が続く」という見立てだった。実際はTOPIX +0.03%に対して日経+1.26%、NT倍率は15.85へ拡大と完全に逆を行った。中身も「円高メリットの内需・小売・電力ガスが優位」としたが、買われたのは情報・通信・証券・非鉄で、電気・ガスはむしろ下落業種に回っている。

見落としの本体は、指数の「方向」「値幅」「広がり」を分けて書いていなかったことにある。9/4の上昇銘柄比率は38.2%で過半数が下落しており、+806円のうちソフトバンクG単独で+477円相当、上位3銘柄を除くと+0.09%だった。「指数は大きく上がるが広がりはない」という第3の形を想定に持っていなかったことが、値幅と物色を同時に外した原因になる。ここから、シナリオには広がり(上昇銘柄比率)を独立した変数として明記することにした。

なお9/5の休日版に置いた9/7向けシナリオは、今日の取引がそのまま検証対象になる。週末の米イラン情勢と、ソフトバンクGのADRが−3.7ptだったことを反映して、確率配分だけをメイン45%/強気30%/リスク25%からメイン45%/強気25%/リスク30%へ組み替えた。メインの中身は変えていない。累計成績は検証19件・的中率68.4%(hit 9 / partial 8 / miss 2)。

今日のシナリオ

今日のシナリオ(日経平均のレンジと確率)
Source: fetch_market.py(Yahoo Finance)/日本株=9/4大引けNOX MARKET LAB
メイン: ギャップアップ後、半導体主導で高値圏を保つが25日線には届かない45%
65,400〜66,200円(上昇銘柄比率50〜65%を想定)

先物の+810円をほぼ実現して65,700〜65,900円で寄り、9/4に届かなかった5日線65,217.67円が支持に変わる形を本線とみる。買われるのはキオクシアHD・アドバンテスト・東京エレクトロン・イビデン・KOKUSAI ELECTRICといった半導体まわりで、根拠はSOX +3.37%、先物ナイト+810円、ADR乖離が東京エレクトロン+2.8pt・アドバンテスト+1.4ptとプラスであること。上値を抑える要因は、25日線66,067.79円が雲の上限と重なること、ソフトバンクGの利益確定売り、米国勢不在の薄商い、空売り比率39.9%で踏み上げ燃料が乏しいこと、信用倍率7.91倍の戻り売り圧力になる。終値で9/4終値65,020.94円を下回るか、66,200円を超えれば、この読みは外れと判断する。

強気: メモリ相場の再点火で25日線を上抜け25%
66,200〜67,000円

キオクシアHDが寄りから+5%以上で始まり最厚帯上限55,190円を出来高1.5倍超で抜けて前場を通じて高値を切り上げる、韓国勢が米メモリ高に追随する、東証プライム売買代金が7兆円台を維持する、ドル円が157円台を回復する——このあたりがトリガーになる。66,000円はPER 17.49倍で直近38営業日の平均と一致する水準で、抜けた場合の次の節目は75日線66,735.27円。

リスク: 4営業日連続の寄り天。ソフトバンクGの反落と原油高でギャップを埋めに行く30%
64,600〜65,400円

ソフトバンクGに利益確定売りが集中して9/4に稼いだ+477円分が剥がれる場合(ADR乖離−3.7ptが先行シグナル)、米イラン情勢の激化で原油が時間外に急伸し9/1の全面安が再現される場合、米10年債4.78%を東京が改めて嫌気して高PER株が朝の高値から失速する場合、日銀の50bp利上げを裏づける報道でドル円が20日安値155.32円を割る場合。下値の目処は20日安値63,772.80円。

時間帯別に見ると、寄りは65,700〜65,900円の大幅高スタートが想定され、前場は半導体・メモリが主導役で最初の関門が5日線65,217.67円、次が25日線66,067.79円。キオクシアHDの55,190円をどれだけの出来高で扱うかが強さの物差しになる。指数入れ替えがらみの買いは寄り30分に集中しやすい。後場は米国休場で商いが細り値幅が縮小しやすく、東証プライム売買代金が5兆円台まで落ちるなら値動きは薄商いの分を割り引いて読みたい(9/4は8兆3,282億円)。9/8のGDP改定値、9/11のSQと米CPIを控えた持ち高調整も後場に出やすい。

なお9/7時点でkabuステーションは停止中で、寄り前気配・東証33業種の当日騰落率・確定出来高は取得できていない。先物の値は二次情報のため、寄り前に大取の値で検算する前提で置いている。

注目カレンダー

  • ★ 9/7(月)終日: 米国休場(レイバーデー) — 株式・債券とも終日休場で、東京の引け後に米国発の材料が出ない1日になる。国内は14:00に7月景気動向指数、17:00にJPXの空売り比率
  • ★ 9/8(火)08:50: 日本 4〜6月期GDP改定値/7月国際収支 — 予想は前期比+0.4%・年率+1.8%。9/17〜18の日銀会合を前にした国内材料
  • ★ 9/11(金): 日本メジャーSQ(09:00)+米8月CPI(21:30 JST) — FOMC前最後のインフレ指標とSQが重なる。利上げ確率が66.0%→49.5%→60.0%と往復してきた迷いが、ここで一度整理される