/ 9/9夕刊版(大引け後)
光ファイバー特需で電線・非鉄が急騰、半導体は逆行安
日経平均は126.55円安の小幅続落。だが中身は非鉄金属+6.88%・石油石炭製品+5.01%に対して証券−2.31%という極端な二極化で、主役は半導体ではなく電線と資源だった。
データ時点: 日本株=9/9大引け(確定値)/米国株・SOX・米セクターETF・米10年債=9/8終値/為替・商品・暗号資産=9/9 17:30頃
指数がほとんど動かない日ほど、中身を見ないと何も分からない。9/9の日経平均は65,142.78円(−126.55円・−0.19%)で2日続落、TOPIXも4,046.64(−0.09%)とほぼ横ばいで引けた。それでも東証33業種は非鉄金属+6.88%・石油石炭製品+5.01%が上位、証券・商品先物取引業−2.31%が最下位という、めったに見ない開き方をしている。
朝版で主役に置いていたのは値がさ半導体の買い戻しだった。実際に動いたのは古河電工+12.63%・フジクラ+8.07%という電線株で、アドバンテストは−2.84%と逆に売られている。きっかけは9/8の米国で出た光ファイバーと光接続の契約2本で、AIの資金がチップからインフラ側へ流れた一日だった。
今日の要点
- 主役が入れ替わった。9/8の米国でコーニング=ベライゾンの光ファイバー大型契約とクアルコム=アマゾンのAIデータセンター協業が同日に出て、東京では古河電工4,129円(+12.63%)・フジクラ5,493円(+8.07%)・SWCC 14,660円(+7.71%)が買われ、非鉄金属は+6.88%になった。
- 指数の値幅と広がりが食い違った。東証プライムは値上がり602/値下がり920で上昇比率39.6%と3営業日連続の50%割れだが、NT倍率は16.11→16.10とほぼ不変で、原因は値がさ集中ではなくセクター間の二極化にある。
- 売り方は張ったまま、商いだけ戻った。空売り比率は9/8の42.40%から44.2%へ+1.8pt上昇して9/2の44.80%以来の高さに近づく一方、売買代金は9兆2,303億円(前日比+8.9%・20日平均比1.09倍)と20日平均割れ6営業日の流れを断ち切った。
ヘッドライン
光ファイバー・光接続の大型契約2本が東京に飛び火、非鉄金属+6.88%
9/8の米国でコーニングとベライゾンが、2027〜2032年に8,000万マイル超の高密度光ファイバーを供給する複数年契約を結んだ(GLWは約+3%)。同じ日にクアルコムがアマゾンとAIデータセンター向けカスタムシリコンおよび超高速光接続で多世代の協業を発表し、QCOMは+9.5%。アマゾンに対して最大2,500万株のワラントを発行する条件も付いている。
数字の裏付けとして、AIデータセンターの1ノードに必要な光ファイバー量は従来型スイッチの約16倍だとコーニングが説明している。AI投資の受け皿が光接続・電線・銅というインフラ側へ広がる経路がここでできた形で、東京では古河電工+12.63%、フジクラ+8.07%、SWCC+7.71%、住友ベークライト7,660円(+11.01%)が並んだ。銅先物が6.78ドル・52週レンジ内位置100%にあることも土台になっている。
見るべき水準ははっきりしている。古河電工4,129円(20日高値4,632円・75日線4,126円)とフジクラ5,493円の翌日の寄り値と出来高で、フジクラは9/9の出来高が20日平均比0.94倍と買い遅れが残る。銅先物6.78ドルの維持と、9/10 14:30のTSMC 8月月次売上が次の判定材料になる。
指数はほぼ動かず、上昇比率は39.6%で3営業日連続の50%割れ
日経平均は寄りで−182.11円の65,087.22円と売り先行で始まった。前場中盤に石油・資源買いでプラス圏を回復し、後場は+267円でスタートしたものの上げ幅を消して小幅安で引けている。東証プライムは値上がり602/値下がり920の上昇比率39.6%、33業種は16高17安だった。
指数の値幅と広がりが食い違う日は、ふつう値がさ集中で説明する。ただNT倍率は16.11から16.10へとほぼ動いておらず、今回はその説明が効かない。原因はセクター間の二極化で、非鉄+6.88%の反対側に証券・商品先物−2.31%、サービス−1.86%、小売−1.85%が並んでいる。
テーマが狭い相場は、そのテーマが崩れた瞬間に指数を支えるものが無くなるという弱さを抱える。上昇比率が50%を回復するか、非鉄金属が2営業日続けて業種上位に残るかが、この構図が続くかどうかの目安になる。25日騰落レシオは116.16だった。
空売り比率は44.2%へ+1.8pt上昇 — 売り方は張ったまま、商いだけ7営業日ぶりに20日平均超え
9/9の空売り比率は44.2%(前日比+1.8pt)で、9/8の42.40%からさらに上がった。水準としては9/2の44.80%以来の高さに接近している。東証プライムの売買代金は9兆2,303億円(前日比+8.9%・20日平均8兆4,801億円に対して1.09倍)で、6営業日続いていた20日平均割れが途切れ、日経VIは32.05から31.55へ小幅低下した。
空売り比率40%超は売り方の圧力が強い状態で、反発時には踏み上げが出やすい。今日は指数がほぼ横ばい(−0.19%)のまま比率が上がったので、上値で売り方が待ち構えていると読むのが素直だ。裏を返せば踏み上げの燃料はまだ使われずに残っており、上へのきっかけ(9/10 14:30のTSMC月次、円安方向への戻し)が出たときの戻りは速くなりやすい。
売買代金の増加も投げではなく、非鉄・電線を買って証券・小売を売る入れ替えによるものだった。代金上位はソフトバンクG 7,143億円、フジクラ2,771億円、古河電工1,521億円。空売り比率が40%を割るか、売買代金が9兆円台を保てるかが次の確認点で、9/10 16:00頃には投資部門別売買動向(08/31〜09/04分)が出る。
主要指数
| 指数 | 値 | 前日比 | 52週位置 | 時点 |
|---|---|---|---|---|
| 日経平均 | 65,142.78 | −0.19% | 75% | 9/9終値 |
| TOPIX | 4,046.64 | −0.09% | - | 9/9終値 |
| NYダウ | 52,786.07 | −1.18% | 83% | 9/8終値 |
| S&P500 | 7,673.52 | −0.58% | 91% | 9/8終値 |
| NASDAQ総合 | 26,421.41 | −0.32% | 89% | 9/8終値 |
| SOX指数 | 11,887.87 | +1.30% | 69% | 9/8終値 |
| ドル円 | 153.56 | −0.19% | 41% | 9/9 17:30頃 |
| ビットコイン | 79,632.09 | +1.52% | 32% | 9/9 17:30頃 |
半導体は米国と東京で逆を向いた。9/8にSOXが+1.30%と逆行高したのに、9/9の東京はアドバンテスト32,840円(−2.84%・日中値幅4.93%)、東京エレクトロン53,700円(−0.56%)、ディスコ53,590円(−0.56%)、キオクシアHD 57,000円(−0.71%・出来高20日平均比0.84倍)と装置株が売られている。米国の半導体が上げた翌日に東京の半導体が下げるのは出遅れではなく、同じAIテーマの中で資金が光接続・電線へ移動しているシグナルと読める。
為替は円高が解けていない。ドル円は153.56円(対比日 09/07→09/09)で、夕方には153円を割り込む場面があった。RSI(14)は25.1と売られ過ぎで一目の雲の下、20日安値152.90円が目先の下限になる。日経平均のテクニカルは5日線65,208円が終値のすぐ上、25日線66,256円・75日線66,827円が頭上に残り、RSI(14)46.4で雲の中だ。
前回シナリオの答え合わせ
PARTIAL
前回のメイン(50%)は「安値引けの翌日の自律反発を試すが、戻りは25日線66,209円に届かない」で、想定レンジは65,000〜66,000円だった。終値65,142.78円は下限から+143円でレンジ内に収まり、寄りは−182.11円で始まって前場にプラス圏を回復し後場に失速という値動きも想定どおり。無効化条件(66,200円超・64,200円割れ・ドル円155円台回復での下落)はいずれも成立していない。
個別の方向では、ソフトバンクGが上がる(+3.87%・出来高20日平均比2.48倍)という読みが当たっている。
外したのは中身だ。想定した上昇比率45〜60%に対して実際は39.6%、そして物色の主役を「値がさ半導体の買い戻し」としたが、実際は非鉄金属+6.88%・石油石炭製品+5.01%の資源+電線で、半導体は逆に売られた。ADR乖離+12.1ptを寄り付きギャップの目安にした点も、実際が+3.87%で3分の1以下と、幅には使えないことが4回目の確認になった。
需給の読みも外している。朝版は「空売り比率42.40%が反発の燃料になる」としたが、実際の比率は44.2%へ+1.8pt上がり、期待した踏み上げは起きていない。燃料が残ったまま持ち越された形で、比率が高いこと自体は反発の十分条件ではないという当たり前の確認になった。
見落としは2点ある。9/8の米国で出た光ファイバーと光接続の契約を朝版のヘッドラインに入れておらず、米国の個別材料が東京の別セクターに飛ぶ経路を想定できなかった。もう一つは、指数横ばいなのに上昇比率が低いという食い違いをNT倍率で説明しようとした点で、広がりの想定は「値がさ集中度」だけでなく「テーマの狭さ」でも立てる必要がある。累計は2026-09-09時点で検証22件・hit 9/partial 10/miss 3、的中率63.6%。
今日のシナリオ
物色の中心が半導体から資源・電線に替わったまま、指数は5日線65,208円を挟んだ往来にとどまりやすい。上値の抵抗は25日線66,256円、下値は9/3安値64,214円。前場の判定材料は古河電工・フジクラ・出光興産の寄り30分で、テーマが1日で終わっていないかをここで確認したい。
トリガーは9/9夜の米国でSOXが続伸すること、9/10 14:30のTSMC 8月月次売上が加速していること、Appleイベントの好感で電子部品株に買いが入ること、ドル円が155円台を回復すること。ただし終値で66,300円(25日線66,256円)を超えた場合は、この読み筋自体を組み直す無効化ラインにあたる。
トリガーはドル円の152円台入り、WTIの95ドル超、9/9夜の米国株が−1%超で引けること、非鉄・電線が寄り天になること、14:30以降のSQ絡みの先物売り。終値で64,000円を割れると想定の枠を外れる。非鉄金属と石油石炭製品がそろって業種下位に沈んだのに日経平均が上昇して引けた場合も、前提が崩れたことになる。
原油と金利は上を向いたままだ。WTIは94.14ドル(+1.19%・1カ月+14.62%)で石油・石炭製品+5.01%の背景にあり、出光興産1,660円(+7.58%)は52週レンジ内位置100%まで買われている。米10年債利回りも4.81%で52週レンジ内位置100%にあり、資源と金利が同時にレンジ上端に張り付いている点は覚えておきたい。
注目カレンダー
- ★ 9/10 14:30 TSMC 8月月次売上高 — AI実需の答え合わせで、今週最大の判定材料
- ★ 9/11 09:00 日本のメジャーSQ(9月限) — 先物絡みの振れが大きくなる
- ★ 9/11 21:30 米8月CPI — 9月FOMCの事実上の決定打。コア前年比の予想は2.4%前後