/ 9/11朝版(東京寄り付き前)
原油103ドルと半導体安
日経225先物の夜間終値は1,220円安の6万3,870円。9/10の現物終値65,270.95円に対して−1,400円(−2.15%)という位置から、9月限メジャーSQを迎える朝になる。
データ時点: 日本株=9/10大引け(確定)/米国株・SOX・米セクターETF・米10年債・VIX・商品=9/10終値/為替・暗号資産=9/11 07:00頃/日経225先物=9/11 06:00 夜間終値/東証33業種=kabuS 9/10 17:32/PER・EPS=9/9時点
答え合わせが二重に来る日になる。朝は建玉の事務であるメジャーSQ(算出9:00〜9:15)、夜は米8月CPI(21:30)で、その間だけが実勢の出る時間になる。
前提は9/10の米国市場で大きく動いた。米8月PPIが前年比+5.4%(予想+5.3%)と上振れし、米10年債利回りは4.944%まで上昇。同じ日に中東の供給不安でWTI原油が103.93ドル(+8.20%)へ跳ね、SOXは−2.66%でメモリが総崩れになっている。
日経225先物の夜間終値は6万3,870円(−1,220円)。20日安値63,772.80円のわずか97円上で、寄り付きはこの節目を挟んだ攻防から始まる公算が大きい。
今日の要点
- 前日の東京が積み上げた分は、寄り前にほぼ帳消しになっている。9/10の日経平均は高値引けの65,270.95円(+0.20%)だったが、夜間先物は63,870円で現物比−1,400円(−2.15%)。この水準のPERは16.74倍で、直近39営業日レンジの最低16.84倍をすでに下回る計算になる。
- 原油高の読まれ方が「インフレ」ではなく「需要破壊」に寄っている。WTIが+8.20%の103.93ドルまで上げたのに米エネルギーETF(XLE)は−0.58%、油田サービスのHALは−2.85%・SLBは−1.82%で、銅も−4.08%と景気敏感側が同時に売られた。供給ショックが最終的に需要を壊すという読み筋が、素直な資源高トレードを打ち消している。
- 東京が9/10に買った半導体を、米国が同じ日に売り返した。SOXは11,614.17(−2.66%)で3日ぶりに反落し、マイクロン−4.90%、サンディスク−4.06%、WDC−4.43%とメモリが並んで下位に沈んでいる。TSMCの8月月次という同じ材料が、地域と時間帯で逆の答えになった形だ。
ヘッドライン
中東の供給不安でWTIが103.93ドルへ+8.20%、5月以来の高値
WTI原油10月限は9/10に103.93ドル(+8.20%)で引けた。9/9の清算値96.05ドルから7.88ドルの上昇で、期近物として5月以来の高値になる。イエメンの親イラン武装組織フーシが同国の港湾都市を掌握したと報じられ、サウジアラビアが「前月の生産が1990年来で最低」とOPECに報告したとの報道も重なった。
日本への経路は3本あり、符号がそろっていない。原油高が期待インフレを通じて長期金利を押し上げ高PER株の割高感につながる経路、輸送・素材・電力・建設のコスト増として効く経路、そして石油・鉱業・商社への資金流入という経路である。輸入依存の日本にとって、交易条件の悪化は内需側の逆風として残る。
見どころは値そのものより整合性のほうにある。原油+8.20%に対してXLEが−0.58%、銅が−4.08%という食い違いが続くなら、資源高は素材株の買い材料としては効きにくい。東京側ではINPEX 3,877円(20日高値4,212円)と出光興産1,650.5円(52週レンジ内位置99%)の寄り30分、および石油・石炭製品業種の並びが判定材料になる。
米8月PPIが前年比+5.4%で上振れ、10年債4.944%は2023年10月以来の水準
米8月PPIは前月比+0.4%(予想+0.4%)、前年比+5.4%(予想+5.3%)で着地した。コアは前月比+0.2%・前年比+4.6%。米10年債利回りは4.944%(+0.107pt)へ上昇して52週レンジ内位置100%となり、報道ベースでは一時4.95%と2023年10月以来の高さをつけている。NYダウは4日続落の−316.56ドル、ドル円は154円67銭まで円安に振れた。
PPIは川上の価格で、CPIには遅れて転嫁される。今夜の米8月CPIが上振れる可能性を先に織り込んだのが9/10の株安・金利高という並びになる。日本には両面で届き、為替経路の円安(154.44円)は輸出に追い風、金利経路の連れ高は銀行・保険に追い風で、不動産・住宅と高PERグロースには逆風になる。
節目は3つ。米10年債の4.944%から警戒ライン5.0%までの0.06pt、ドル円の154.44円と155円、そして日本10年債2.894%が3.0%を再び試すかどうかだ。今夜21:30の米8月CPIの予想値は9/10夕刊版で記録したヘッドライン前年比+3.4%/コア+2.4%だが、今朝の時点では再確認が取れていない点は割り引いて見ておきたい。
SOX−2.66%でメモリ総崩れ、東京の半導体買いが上書きされた
9/10の米国市場で最も弱かったのは半導体と製造装置だった。SOXは11,614.17(−2.66%)で3日ぶりに反落し、マイクロン−4.90%、サンディスク−4.06%、WDC−4.43%、AMD−3.36%、NVDA−2.37%、デル−5.35%が並ぶ。一方で9/10の東京はTSMCの8月売上(前年比+53.3%の過去最高)を好感し、アドバンテスト+3.29%・キオクシアHD+1.91%と逆の反応を見せていた。
同じ材料が地域と時間帯で逆の答えになった理由は、効いた層が違うからだ。東京では実需データそのものが効き、米国では金利上昇によるバリュエーション圧縮に上書きされた。キオクシアHDはサンディスク・マイクロン・WDCと同じNAND市況を共有するため、この下げは直接の下押し要因として届く。
確認したいのは3点になる。キオクシアHD 58,090円の寄り値と出来高(20日平均比1.5倍=約5,500万株。9/10は0.79倍で5営業日連続の平均割れ)、アドバンテスト33,920円がADR乖離−1.7pt通りに売られるか、そして時間外でNVDA+0.21%・マイクロン−0.14%・サンディスク−0.29%とほぼ横ばいだった点が寄り後も保たれるかだ。
主要指数
| 指数 | 値 | 前日比 | 52週位置 | 時点 |
|---|---|---|---|---|
| 日経平均 | 65,270.95 | +0.20% | 75% | 9/10終値 |
| TOPIX | 4,054.58 | +0.20% | - | 9/10終値 |
| S&P500 | 7,591.70 | −0.58% | 86% | 9/10終値 |
| NASDAQ総合 | 26,081.72 | −0.65% | 84% | 9/10終値 |
| SOX指数 | 11,614.17 | −2.66% | 65% | 9/10終値 |
| VIX | 17.84 | +8.38% | 25% | 9/10終値 |
| ドル円 | 154.44 | +0.56% | 46% | 9/11 07:00頃 |
| ビットコイン | 77,125.69 | −1.45% | 28% | 9/11 07:00頃 |
指数の外側の数字のほうが今日は情報量がある。米10年債4.944%(+0.107pt・52週レンジ内位置100%)、WTI 103.93ドル(+8.20%・同84%)、銅6.526ドル(−4.08%・同88%)、金4,358.5ドル(−1.30%)で、VIXは5日間で+24.58%と警戒側に傾いた。日経VIは30.55(−3.17%)で、SQ前の建玉整理を映して逆に低下している。
需給面の背景は9/10のままだ。売買代金は8兆3,804億円で20日平均比0.99倍、上昇比率は48.0%で4営業日連続の50%割れ。海外投資家は08/31〜09/04週に+7,288億円の買い越しへ転換した一方、信託銀行は−4,427億円で4週連続の売り越しが続いている。空売り比率は42.4%(前日比−1.8pt)で、40%超の水準は踏み上げの燃料が残っていることを意味する。
前回シナリオの答え合わせ
MISS
今日のレポートが累計に反映している判定は、9/10朝版のシナリオ(メイン50%・想定レンジ63,900〜64,900円)に対するものでミスだった。実際の終値65,270.95円がレンジを381円上抜け、無効化条件に置いた「終値で5日線65,208円を超える」に触れている。累計は2026-09-11時点で検証23件・hit 9/partial 10/miss 4、的中率60.9%。
直近の9/10夕刊版シナリオ(メイン50%「メジャーSQ通過後は米CPI待ちで上値の重い揉み合い」・想定レンジ64,800〜65,900円)は、正式な判定が今日の大引けになる。ただし夜間先物63,870円の時点で、すでに下限を930円下回っている。
トリガーの実現度を見ると、素直に外れたわけではないところが厄介だ。リスクシナリオの条件は「PPIが前年比+5.5%超で米10年債4.95%以上」だったが、実際のPPIは+5.4%で+5.5%には届かず、10年債も終値4.944%と報道ベースの一時4.95%でようやく届く水準にとどまる。数字は条件を満たしきっていないのに、値動きだけがリスク側へ振れた形になる。
強気側は、トリガーに置いた「ドル円154円台回復」だけが実現した(154.44円)。「SOXが+1.5%超」は−2.66%と真逆で、「SQ値が現物終値を上回る」は今朝の時点で成立しにくい位置にある。ひとつのトリガーが点いても他が消えていれば方向は変わらない、という当たり前が今回は分かりやすく出た。
今日のシナリオ
寄りは63,700〜64,000円を想定し、20日安値63,772.80円を挟んだ攻防から始まる形になる。下げ渋る側の根拠は、63,870円のPERが16.74倍と39営業日レンジの最低16.84倍を下回ること、空売り比率42.4%に踏み上げの燃料が残ること、海外投資家が08/31〜09/04週に+7,288億円の買い越しへ転換したこと、ドル円154.44円の円安が輸出に効くことの4点になる。
戻り切れない側の根拠は、今夜の米CPIまで持ち高を増やす理由がないこと、米10年債4.944%が52週高値圏にあること、原油103ドルのコスト増、SQ通過で先物の下支えが外れること、信託銀行の4週連続売り越しになる。上値の抵抗は5日線65,421円・25日線66,218円で、出来高の厚い帯は65,608〜66,640円と現在値より上にあり戻り売り圧力として残る。
トリガーはSQ算出値が63,900円以上で決まって寄り安が一日の安値になること、ドル円155円乗せ、WTIが東京時間に100ドルを割れること、石油・鉱業と銀行・証券・保険が業種上位に並ぶこと、寄り30分でプライム上昇比率40%超、そして時間外でメモリ3社が下げ止まっている点の確認になる。
トリガーはWTIの105ドル接近/ブレント110ドル、米10年債が時間外で5.0%に乗ること、SQ算出後の先物売り加速で前場に63,300円割れとなること、キオクシア・アドバンテストが寄り天から一段安、上昇比率10%台の全面安の5つ。終値で62,300円を割れば下げ渋りではなく投げということになる。
無効化条件は3つ置いている。終値で9/10終値65,270.95円を超えればギャップが即日埋まったことになり「戻り切れない」という前提が誤り、終値で62,300円割れなら下げ渋りではなく投げ、半導体と石油・金融がそろって業種下位に沈んだのに日経平均が上昇して引けたなら主役の読み違いになる。
時間帯の見方も分けておきたい。寄り〜9:15はSQ算出のため値動きを方向の根拠にせず、9:15以降に実勢が出る。第一関門は20日安値63,772.80円で、石油と金融が逆行高で下値を支えるか、半導体がSOX−2.66%通りに売られるかを同時に見る。後場は米CPIを控えて商いが細りやすく、SQ通過で先物の下支えが外れるぶん、14:30以降の先物の方向が引けの形を決めやすい。
注目カレンダー
- ★ 9/11 09:00 9月限メジャーSQ算出 — 算出は9:00〜9:15。SQ算出値と9/10終値65,270.95円の差、いわゆる「幻のSQ」になるかどうかが最初の材料になる
- ★ 9/11 21:30 米8月CPI — 9月FOMCの決定打。9/10夕刊版で記録した予想はヘッドライン前年比+3.4%/コア+2.4%(今朝は再確認できておらず要注意)。反応は9/14(月)に持ち越しになる
- ★ 9/11 国内77社の決算発表/米ミシガン大学消費者マインド指数 — アストロスケールHD・神戸物産・リベラウェアなど