/ 9/17朝版(前場中・取引時間中の実行)

FOMC利上げと原油急落

FOMCが3年ぶりに利上げして米10年債は5.01%、ダウは631.21ドル安。それでも東京の33業種は31業種が高く、上げを作っているのは幕張で開幕した東京ゲームショウである。

データ時点: 日本株=9/17 10:22頃のザラ場途中経過(確定値ではない)/米国株・SOX・米セクターETF・米10年債・VIX=9/16終値/為替・商品・暗号資産=9/17 10:2x(9/16の足が欠損しており前日比は09/15比の2営業日分)/東証33業種=トレーダーズ・ウェブ 9/17 10:11/PER・EPS=9/16終値ベース/売買代金・騰落銘柄数=9/16大引け確報/投資部門別=08/31〜09/04週

主要指数の5日推移(起点日比)
日経平均S&P500
Source: Yahoo Finance / 09/02〜09/17 終値・起点日比NOX MARKET LAB

米国から届いた材料は二つとも重いのに、東京はほぼ全面高で始まった。FOMCが9/16に3年ぶりの利上げを決めて米10年債は5.01%に乗り、ダウは631.21ドル安で引けている。にもかかわらず10:22時点の日経平均は64,225.51円(+0.47%)で、東証33業種のうち31業種が上昇している。

なお、このレポートは9/17(木)の前場中に作成している。日経平均・TOPIX連動ETF・東証の個別および業種の当日値はすべてザラ場の途中経過で、確定値ではない。 大引けまでに形が変わる前提で読んでほしい。

答えは原油にある。サウジの洋上積み替え提案でWTIが106ドル台から102.04ドルへ急落し、コスト高の巻き戻しが日本株のほぼ全面高を作った。下げているのは鉱業−3.04%と石油・石炭製品−1.61%の2業種だけである。

ただし上げ方は素直ではない。寄り付き64,643.58円(前日比+720.58円)がそのまま当日高値で、10:22には64,225.51円まで418円押している。今日の主役は明日の日銀であり、東京は結果を見るまで買い上がれない。

今日の要点

  • 東京の上げを実際に作っているのは、FOMCでも原油でもなくゲーム株である。東京ゲームショウ2026が本日幕張メッセで開幕し(9/17〜21・開催30周年で史上最長の5日間)、任天堂・バンダイナムコ・カプコンを含む「その他製品」が+2.65%と33業種首位に立った。カプコン+3.22%、任天堂+3.93%で、カプコンは前夜23:00の配信でSwitch 2版『モンスターハンターワイルズ』(12/4発売予定)の世界初試遊などを発表している。
  • メモリは綱引きのまま動けず、電気機器は+0.07%で33業種31位に取り残されている。ロイターがSKハイニックスとインテルの米国内メモリ生産協議を報じてINTC+4.03%・SKハイニックス+4.1%となる一方、キオクシアの太田裕雄CEOは9/8に「メモリ価格はすでに十分に高騰した」と述べ、データセンター事業者への追加値上げを止めるよう営業に指示したと明かした。供給拡張は中期の価格下押し要因で、値上げ停止発言は価格上昇シナリオの前提を当事者自身が否定したことになる。
  • 暗号資産関連株は制度の期待が抜けた。米上院がデジタル資産市場明確化法(CLARITY法案)の手続き動議を賛成49対反対50で否決し、可決に必要な60票に届かなかった。CRCLは9/15−11.41%・9/16−6.78%、COINは−10.10%→−4.42%で、9/16にCircleがArcメインネットを本番稼働させても株価は下げている。

ヘッドライン

FOMCが3年ぶりに利上げ、米10年債が5%に乗りダウは631ドル安

FOMCは9/16に政策金利を0.25%引き上げ、3.75〜4.00%とした。2023年7月以来の利上げで、採決は全会一致の12-0。ドットプロットは18人中16人が年内もう1回の追加利上げを見込んでいる。

米10年債利回りは5.01%(52週レンジ内位置100%)まで上昇した。割引率の上昇は高PER株の理論価値を下げるため、ダウは一時900ドル超下げて終値−631.21ドルの51,461.90(−1.21%)。ただしNASDAQ総合は−0.01%とほぼ横ばいで、売られたのは金融ETFのXLF−1.62%とエネルギーETFのXLE−2.88%だった。

日米金利差の拡大でドル円は154円台から156円台へ戻し、10:2x時点で156.09円(+0.53%)。次の節目は米10年債の5.05%と、9/30 21:30の米8月PCE、そして10/27〜28の次回FOMCになる。ドル円は155.00円と156.50円を挟んだ位置にある。

サウジの洋上積み替え提案でWTIが102ドル台へ急落、東京は鉱業と石油だけが売られる

サウジが紅海側で積み出しを停止する一方、洋上積み替えによる輸出を提案したと報じられ、供給懸念が後退した。WTIは9/16の106ドル台から9/17朝に102.04ドル(−3.58%・52週レンジ内位置81%)へ。EIA週間在庫の減少幅が予想より小さかったことも売り材料になっている。

日本にとっては「原油高→輸入インフレ→コスト増」という経路の逆回転になる。9/17の前場は33業種中31業種が上昇し、下げているのは鉱業−3.04%と石油・石炭製品−1.61%の2業種だけ。値下がり率上位10銘柄のうち5銘柄が資源・非鉄で占められている。

前日の米国では符号が逆転していた点は覚えておきたい。原油高だった9/16にエネルギーETFのXLEは−2.88%で米セクター最下位である。確認したいのはWTIの100ドルと105ドル、鉱業・石油石炭製品が大引けでも業種最下位のままか、そしてINPEXの20日安値3,727円の3点になる。

日銀金融政策決定会合が本日開始、1.25%への利上げが本線で日本10年債は30年ぶり高水準

日銀は9/17〜18の会合で政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げる方針と報じられている(日本経済新聞 2026/09/10)。日本10年債利回りは2.99%(−0.01pt)で、1996年9月以来およそ30年ぶりの高水準。OISの織り込みは9/2時点で100%超で、0.5%も部分的に織り込まれている。

為替経路(円高→輸出に逆風)はすでに織り込み済みで効きにくい一方、金利経路(利ざや改善)は素直に効いている。前場は保険業+1.93%が業種2位、銀行業+1.02%が13位、その他金融+0.99%が15位に並ぶ。一方で不動産業も+1.31%と上昇しており、利上げ観測の下では説明のつきにくい並びが混じっている。

焦点は利上げそのものより、明日15:30の総裁会見が示す次のペースになる。見どころは9/18 08:30の全国CPI、9/18昼の政策金利(0.50%ならサプライズ)、日本10年債の3.0%、ドル円155.00円の4つ。結果が出るのは明日の昼で、今日の東京はそれを待つ時間になる。

主要指数

主要指数の前日比
Source: fetch_market.py(Yahoo Finance)/日本株=9/17大引け確定NOX MARKET LAB
VIXの推移
VIX
Source: Yahoo Finance(fetch_history.py)NOX MARKET LAB
投資部門別売買動向(週次ネット・億円)
海外投資家個人信託銀行事業法人
Source: JPX 投資部門別売買状況(fetch_investor_flows.py)/公表は対象週の翌週木曜NOX MARKET LAB
月ごとの上昇銘柄割合(日経225構成銘柄・月末終値ベース)
Source: Yahoo Finance/日経公式の構成銘柄(fetch_breadth.py)/2026-09-17時点NOX MARKET LAB
出遅れ組と先行組の相対パフォーマンス(2026-06-30 起点)
出遅れ組(過去1年 下位20%)先行組(上位20%)
Source: Yahoo Finance(fetch_breadth.py)/等金額・起点日比NOX MARKET LAB
指数 前日比 52週位置 時点
日経平均 64,225.51 +0.47% 71% 9/17 10:22ザラ場
TOPIX連動ETF 427.1 +0.75% 97% 9/17 10:22ザラ場
NYダウ 51,461.90 −1.21% 69% 9/16終値
S&P500 7,551.81 −0.45% 83% 9/16終値
NASDAQ総合 25,978.42 −0.01% 82% 9/16終値
SOX指数 11,246.11 +0.63% 60% 9/16終値
VIX 17.71 +2.97% 24% 9/16終値
ドル円 156.09 +0.53% 54% 9/17 10:2x
ビットコイン 76,392.93 +1.03% 27% 9/17 10:2x

為替・商品・暗号資産は9/16の足が欠損しているため、前日比は09/15比の2営業日分である点は割り引いて見てほしい。指数の外側では米10年債5.01%(52週レンジ内位置100%)、WTI 102.04ドル(−3.58%)、金4,334.3ドル(+0.03%)、銅6.47ドル(+1.64%)。日経VIは28.44(−7.30%)で、日銀会合を前に警戒は下がっている。

需給は薄い。9/16のプライム売買代金は6兆7,075億円で20日平均(8兆884億円)比0.83倍、20日平均割れは3営業日連続になる。9/16の騰落は上昇1,048・下落452(上昇比率69.9%)、空売り比率は41.5%(+1.6pt)で、40%超は踏み上げの燃料が残っていることを意味する。

位置関係も整理しておく。9/16終値63,923.00円のPERは17.04倍で、直近40営業日レンジ16.84〜18.09倍のなかの位置は16%と下寄り(EPS 3,751.35円)。5日線63,832円の上、25日線65,619円・75日線66,688円の下で、一目均衡表は雲の下、RSI14は44.2。20日高値66,954.69円・20日安値62,726.18円のレンジのなかほどにいる。

投資部門別は最新が08/31〜09/04週で2週間前のものになる。海外投資家が2週連続売り越しから+7,288億円の大幅買い越しへ転換した一方、信託銀行は−4,427億円で4週連続の売り越し、金融機関−5,637億円、投資信託−2,981億円と国内機関は総売り。買い手が海外1本足という構図で、年金の下値支えは外れている。

前回シナリオの答え合わせ

シナリオ的中率の推移(hit=1, partial=0.5)
累計的中率
Source: scenario_log.jsonNOX MARKET LAB

PARTIAL

判定対象は9/11朝版のシナリオ(メイン50%・想定レンジ63,300〜64,400円)である。終値64,011.34円はレンジの中に収まり、方向(大幅安)と値幅は的中した。無効化条件に置いた「終値で65,270.95円超」「終値で62,300円割れ」はどちらも成立していない。

外したのは3点になる。ひとつは寄り値で、想定63,700〜64,000円に対して実際は64,276.82円と406円上だった。夜間先物63,870円をそのまま寄り値に写したのが誤りで、先物と現物寄り値の乖離幅を想定に持たせるべきだった。

ふたつめは日中の形である。「寄り安→下げ渋り」と書いたが、実際は寄り値64,276.82円が高値で、そこから安値63,208.63円まで1,068円下げ、802円戻す「寄り天→下げ→戻し」だった。安値は想定レンジ下限を91円下抜けている。

みっつめは広がりで、想定15〜30%に対して実績34.0%(値上がり509/値下がり986)。5営業日連続下落の最終日は売り一巡で戻りが出やすく、全面安の想定を下げ2日目以降に引きずったのが原因になる。主役の予想そのものは概ね合っており、半導体はキオクシアHD−6.99%・アドバンテスト−6.49%と想定どおり売られ、石油はINPEX+1.37%と逆行高だった。

累計は2026-09-17時点で検証24件・hit 9/partial 11/miss 4、的中率60.4%。直近6回はpartial 5・miss 1でhitがゼロで、方向と値幅は当てるが日中の形と広がりを外す傾向が固定化している。今日すでに寄り天になっている点は、その癖の裏返しとして見ておきたい。

今日のシナリオ

メイン: 寄り天のあと上値を切り下げ、日銀待ちでもみ合い50%
63,900〜64,700円

前日終値63,923.00円を挟んだもみ合いを本線に置く。上値が重い側の根拠は、結果が明日昼まで出ない日銀会合を前に持ち高を増やす理由が乏しいこと、25日線65,619円が上にあること、寄り付き64,643.58円が当日高値になっていること、売買代金が20日平均比0.83倍で3営業日連続の平均割れという薄商いにある。

下げ切らない側の根拠は、WTI 102.04ドルへの急落でコスト高が巻き戻っていること、33業種のうち31業種が上昇している広がり、5日線63,832円が直下で支えになっていること、9/16終値のPER 17.04倍が40営業日レンジ内位置16%と下寄りにあることの4点。想定する上昇比率は60〜75%になる。

強気: 原油安のコスト減を素直に買い、前場高値を上抜けて65,000円台へ25%
64,700〜65,300円

トリガーは5つ。WTIが東京時間に100ドルを割れること(現在102.04ドル)、ドル円が156.50円に乗ること(現在156.09円)、後場も上昇比率70%超を保つこと、米株価指数先物のダウ高が300ドルから拡大すること、そして電気機器が+0.5%超へ回復すること(現在+0.07%)になる。想定する上昇比率は75〜85%。

リスク: 日銀のサプライズ観測で円高、前日終値と5日線を割る25%
63,200〜63,900円

トリガーは、日銀0.50%利上げ観測でドル円が155.00円を割れること、WTIが105ドルへ切り返して鉱業の下げが他業種へ波及すること、米10年債が時間外で5.05%を超えること、後場に上昇比率が50%を割ること、前場安値63,961.38円を割ることの5つ。想定する上昇比率は35〜50%で、下は9/15安値63,067.18円、さらに9/14安値62,726.18円が視野に入る。

無効化条件は3つ置いている。終値で65,300円を超えれば「日銀会合待ちで上値が重い」という前提そのものが誤り、終値で63,200円を割ればもみ合いではなく下値模索、鉱業・石油石炭が業種上位に戻って金融とゲームがそろって下位に沈んだなら主役の読み違いになる。

時間帯の見方も分けておく。寄り〜10:30は実績として64,643.58円で寄って当日高値をつけ、10:22に64,225.51円へ418円押した。前場後半は押しがどこで止まるかで、第一関門は前日終値63,923.00円と5日線63,832円。後場前半は日銀会合の思惑で金融株が動き、保険・銀行が業種上位に残るかが見どころになる。

後場後半は明日の発表前のポジション調整が入りやすい。9/14〜9/16は3日連続で高値引けに近い形になっており、この癖が続くかどうかが引けの判断材料になる。引け後は16:00のJPX投資部門別(09/07〜09/11週)と17:00の空売り集計が出る。

注目カレンダー

  • ★ 9/17 終日 日銀金融政策決定会合1日目 — 結果は明日昼、総裁会見は明日15:30。今日の東京は結果を見ずに動くことになる
  • ★ 9/18 08:30 日本 全国消費者物価指数(8月) — 政策金利発表の数時間前に出るため、会見のトーンを先に方向づける材料になる
  • ★ 9/18 昼 日銀 政策金利発表 — 1.00%→1.25%が本線。0.50%の引き上げならサプライズ、15:30の植田総裁会見で次のペースが示される